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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第4章 鍛錬と最終選別


それを教える育手は少ない。
むしろ教えないではなく、教えられない育手も多いのではないかと杏寿郎は感じていた。

それを敢えて更紗に課すのは、もちろん更紗を確実に最終選別に合格させるため。

更紗はひたすらに杏寿郎を信頼している。
杏寿郎が課すのだから必要なものなのだと理解し、あとはただただ地道に努力を行う。
弟子としてはこれ以上ない程に育てやすく育て甲斐もある。
だが、手が掛からなさ過ぎて、物足りない感じもする。

「たまには先程以上の弱音も聞いてみたいものだ」

少し寂しそうに目を細めて頑張り歩く更紗を見ると、限界を迎えたのか道に倒れてしまった。

「さすがにそうなる前に言ってくれないか?!」

杏寿郎は走りよって更紗を抱き起こし容態を確認するも、意識はしっかりしており、自分が転んだ事に驚いた顔をしている。

「すみません、心臓が口から出そうになって驚いたら転びました」

想像もしなかった理由に杏寿郎は思わず吹き出してしまいそうになるも、懸命にこらえて更紗を立ち上がらせる。
その間も更紗は常中を続けていた。

「初めてにしては上出来だ!この街を出たら食事休憩。その後は時間もないので君を蝶屋敷まで俺が運ぶ!走るのは帰りにしよう!」

杏寿郎の言葉に悔しそうに顔を歪めるが、日が暮れては元も子もないので渋々それに承諾した。
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