第4章 鍛錬と最終選別
「そうか……そうだな!!帰ったらもっと積極的に話しかけてみることにする!」
そう言って更紗の手を取り道を進んでいくが……
「更紗、呼吸を忘れているぞ!」
「ひゃっ?!すみません!!」
先程までとの空気の温度差が激しく、まだまだついていけない更紗であった。
だが、杏寿郎も鬼師範ながら色々考えているようで、呼吸に集中している更紗に無闇矢鱈と話しかけることはせず、疲れて歩幅が小さくなっても叱ることはしなかった。
そのような気遣いをしてもらうも今まで常に全集中の呼吸をしていない為、更紗の体が悲鳴をあげ始めてしまう。
「あの、師範……そろそろ心臓が胸を突き破り、肺はシャボン玉のように弾けてしまいそうです」
「そうか!それは良い事だ!」
「……頑張ります」
悲鳴をあげても聞き入れては貰えなかった。
「今、肺が大きくなり今までより酸素を多く摂取している。その酸素を余すことなく体全体に送ろうと、心臓が力強く動いているところだ。肺や心臓が成長している時に全集中の呼吸をとめてしまうと、成長もとまってしまう」