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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第4章 鍛錬と最終選別


「父上?!」

千寿郎とは玄関で別れ2人で門から出ると、塀にもたれ掛かるようにして槇寿郎が立っていた。
おそらく2人を待っていたのだろうが、長年まともに息子達と口をきこうとしてなかった為か、言葉が出てこず代わりに物凄い眼力を杏寿郎に飛ばしていた。

「父上、どちらかにお出かけですか?」

「……がう」

「え?」

あまりにも声が小さく2人の耳には届かない。
だが、何か話そうとしている雰囲気を感じとったので、杏寿郎も更紗も静かに待つ事にした。

それから数秒、互いに無言であったがようやく槇寿郎が言葉を発した。

「しっかり守れよ。身内が亡くなるのはもう沢山だ」

それだけだと言うように、2人の返事も聞かずに踵を返して門の中へ入っていってしまった。
突然の信じられない出来事にさすがの杏寿郎も固まっていたが、それが解けるといきなり更紗の脇に手を入れ高い高いの要領で更紗を抱えあげた。

「杏、杏寿郎さん?!」

「聞いたか?!父上が心配してくださったぞ!!更紗、俺は今すごく嬉しい!!」

空中でブンブン振り回されている更紗は槇寿郎が息子達と歩み寄ろうとしている事、杏寿郎が子供のように喜んでいる事、また居候の自分の心配までしてくれている事が嬉しく思わず笑いが込み上げた。
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