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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第4章 鍛錬と最終選別


差し出された更紗は反射的に受け取るも、どう扱っていいのか分からず固まっている。

「道着に袖を通している所悪いが、それに着替えるといい!さすがに道着で走り続けさせる訳にもいかんからな!これは胡蝶のところに行く時、そして最終選別の時に着て行け!」

袴と着物に視線を落とし更紗はスッと着物を撫で、もう一度杏寿郎に視線を戻す。
その目は今にも泣き出しそうな程に潤んでいる。

「杏寿郎さんが、わざわざご用意して下さったのですか?」

「そうだ。稀血である更紗の為に、特別にお館様の許可を得て隠の裁縫を専門にしてる方に作ってもらった。隊服よりも強度は劣るが、君を守ってくれるだろう。個人的にも鬼殺隊的にも、君は失う訳にはいかない存在だ。それら全てを自覚した上で、大切に着てほしい」

着物の上に置かれたままの更紗の手に自分の手を重ね、いたわるような視線を向けている。
更紗は着物を涙で濡らす事がはばかられ、グッと目に力を入れて頷いた。

「杏寿郎さんにもお館様にも感謝しかありません。大切に着させていただきます」

「俺は居間で待っている。焦らずにゆっくりで構わないから、着替えたら居間においで」

そう言って更紗から手を離し廊下を歩いていった。
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