第4章 鍛錬と最終選別
「それなのに最終選別を通過した後、このお家を離れなくてはいけないのだと思うと寂しかったのです。でも、杏寿郎さんが継子にしてくれると言ってくださって、あまりにも身に余る幸せで涙が勝手に出てくるんです」
更紗はようやく胸の内を全て吐き出したのか、堪えるように刀を両手で握りしめ、声を押し殺すようにして泣いている。
はぁぁぁーーー……
杏寿郎から長いため息がこぼれ落ちた。
「そこまで自分を卑下する事もない。更紗が考えるより鬼殺隊は過酷だ。更に柱の継子となると一般剣士よりも多くの現場へ赴き、多くの任務をこなす。そしてその合間を縫って日々の果てしない鍛錬がある。つまり柱と同じような生活を強いられる。だからこそ継子は師範の家に住み込み、きちんとした衣食住を柱から与えられ、最低限の生活が出来るようになっている」
まだ涙は止まっていないが、しっかりとした瞳に杏寿郎は安堵して続ける。
「そして君の両親の事だが宇髄に協力を要請したところ、快く受諾してくれている!彼の情報網は凄まじい!近いうちに見つかるだろうから、住所なども悲観することはない!」
思いもよらぬ数々の言葉に更紗は安堵と共に感激した。