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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第4章 鍛錬と最終選別


「君が来てから、この家の空気が変わった。千寿郎は悲しげな表情から笑顔になり、父上は酒を嗜む量が目に見えて減って、僅かだが俺や千寿郎と話すようになった。そして俺は朝目覚めるのが楽しみになった。母上が亡くなってから、初めてこの家が居心地良くなったのだ」

杏寿郎は目元から腕を外し更紗が覗き込んでいないことを確認すると、起き上がり胡座をかいて座りなおした。

「だからこの家から更紗がいなくなるかもしれないと思うと、柱としても男としても情けない話だが怖くて仕方なかった」

更紗は杏寿郎の言葉を聞き終えると、大きな双眸からポロポロと涙を零し出した。

「更紗?!何か嫌なことを言ったか?!よもや俺の継子はやはり嫌だったか?!」

「違います!継子になるなら杏寿郎さんしかありえません。そうではなくて……私は現在住所不定無職で、両親の生死さえ不明で戸籍もどうなっているのか……杏寿郎さん達御家族には一宿一飯の恩ではどう考えても足りないのです!」

いきなり現実的な話になり杏寿郎はポカンと口を半開きにしている。
だが更紗の話は止まることを知らないように次々と溢れ出す。
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