第4章 鍛錬と最終選別
杏寿郎は稀血ではないが、柱の中にも強烈な稀血の者がいる。
しかもそれは更紗の稀血とは比べ物にならないほどのもので、鬼を酩酊させるほどだという。
「更紗、気休めにしかならんかもしれんが、柱の中には稀血の中でも更に強い稀血の者がいる。今でこそ柱だが、彼も君達と同じ条件下で最終選別を突破している。つまり更紗も、生き残る事が出来るはずだ」
絶望的な表情をしていた更紗の顔に、少しだけ希望の光がチラついてきている。
「それに更紗は彼と違って、体内の細胞が自己修復してくれる。きちんと呼吸を使いこなす事が出来れば、それこそ俺よりも長い時間動き続ける事が出来るはずだ。経験や持って生まれた環境、素質、体格差から俺を簡単には越えられないが、君は近いところまで上り詰めることが可能だと俺は思っている」
杏寿郎は1度言葉を切り、二人の間に置いてある刀を片手で更紗の胸の高さまで持ち上げる。