第4章 鍛錬と最終選別
更紗から笑顔がなくなり、自然と部屋の空気も張り詰めたものになった。
そんな中、杏寿郎は慎重に言葉を発する。
「最終選別は1週間、鬼の嫌う藤の花が一年中狂い咲いている藤襲山という山の中で、生け捕りにされた鬼を狩り生き延びるというものだ」
更紗の体内の血が一気に全身に駆け巡った。
鼓動は早くなり、呼吸も自然と浅くなる。
「どの最終選別も生存率はかなり低い。君達のような鬼殺隊剣士の卵が頑張ってようやく勝てるくらいの強さの鬼が、そこら中に徘徊している。そんな環境下で1週間生き残って、初めて鬼殺隊の剣士とみなされる」
つまり日が沈んでる間、ずっと気を張りつめてひたすら鬼を迎撃しなければならないのだ。
「でもそれって……私にとっては……」
体温が急激に上がったからか、更紗の喉と唇が乾き自然と声が掠れてしまっている。
「そうだ、君は稀血なので他の受験者より多くの鬼に狙われる」
ただでさえ生存率の低い最終選別に、更紗はかなりの障害を背負って参加し合格しなければならない。
理解はできるが、更紗は厳しい条件になかなか現実を受け止めきれずにいる。