第2章 BL疑惑
前から話しながら歩いてくる2人が見えた。なつきはいないみたいだ…確かに男同士のこういうデリケートな話とか、恋の気持ちとかはなつきに聞いたほうがいいかもしれない。私はそういうのは範囲外だから。
「あ、かな。」
「よー、かな。」
「やっほ~、補習お疲れ様。」
「チワッスリーチ先輩!!!」
「元気だねサバちゃん。」
私達に気づいて手を振ってくれた2人。フロイドが隣にいるのに、普通に挨拶してくれる一年生はこの2人以外あんまいないんじゃないかと思う。デュースはフロイド先輩にも気合が入った挨拶をしていた。
「そーだ、最後だし…カニちゃん、サバちゃん、オレのこと好き?」
「え?」
「は?」
「答えてあげて。」
2人はなつきにベタ惚れなのは見てて分かる。だからフロイドには恋のコ、の字もないだろう。だが答えないと、フロイドは納得しないだろう。私がこういうと、2人は目を合わせてこう言った。
「怖い。」
「怖い。」
「対象外。」
「論外。」
「暴力。」
「物騒。」
「ヤバい。」
「薬やってそう。」
「峠攻めてそう。」
「それはお前。」
「そうか。」
「めっさ言うやん君ら。」
私経由でフロイドに慣れているといっても、そんなにボロクソに言えるもんだろうか。フロイドの顔が絞める5秒前みたいな顔してるよ。
「あれっ…フロイド先輩?お久しぶりです~」
「あ、サンゴちゃん。」
「なつき~~~」
このふわふわした感じが今とても恋しかった。カリムも似たようなものだが、あの人は光属性過ぎてあまり近づけないのだ。なつきに抱き着くと、わしわしと頭を撫でられる。
「ねーねー、サンゴちゃんはオレのこと好き?」
「ん?好きですよ。」
「マジ?」
ここにもサラッと好きと言えるヤツがいたよ。なんでそんなに正直に言うことができるんだ。私は天邪気過ぎて無理だわ。