第2章 BL疑惑
~アズールver.~
―飛行場―
「すみませんかなさん、練習に付き合ってもらって。」
「いえいえ!大丈夫ですよ、暇だったので。」
放課後、飛行場にて飛行術の個人練習をしているアズール。何でもできる彼であるが、飛行術の授業だけはあまり得意とはいえない。何を隠そう、箒と地面との距離が数センチしか浮かすことができないのである。
「見てください!昨日より飛べていると思いませんか?」
「ほんとに数ミリですけども。」
嬉々として目を輝かせるアズールに苦笑いで答えるしかない。本当に数ミリであるが、上達していることに変わりはない。
「ほんの数ミリでも、その積み重ねが大きな努力の第一歩になるのです!これでジェイドより成績が良くなること間違いありません!」
「ジェイド先輩…??競ってるんですか?」
「いえ別に、競ってなどいませんよ。ただ、あいつに負けるのが悔しい…いえ、不愉快ですので。」
「あぁ…そういう…でもアズール先輩とジェイド先輩って似た者同士じゃありません?」
「えぇ??どこが????」
心底分からないという顔をする。そんなに怪訝な顔をしなくても…本人にとっては余程一緒にしてほしくないようだ。
「なんか…2人共先のことを考えて行動するところとか。あと何かと物騒だし…あ、あと腹の中が全く分かんないとことか、そっくり。」
「それはジェイドだけです。あんなに笑顔が信じられないヤツはいませんからね。」
いつもニコニコと笑いかけてくるジェイド。本当に笑っているだけなら問題ないのだが、怒っているときも脅しているときもあの笑顔のため判別が難しい。よって、その笑顔が全部怖く見えてしまうのだ。
「んー…まぁ…でも、なんだかんだでお2人仲いいじゃないですか。この前だって2人でずっと話してたし…」
「?えぇ…まぁ幼馴染ですらね。僕よりウツボ2匹の方が一緒にいるのでは?」
「んー…いやあの…」
「なんです、今更遠慮などする仲じゃないでしょう。」
もごもごといい淀んでしまう。結構デリケートな話ではあるので、今まで好き勝手言ってきた私でもはっきり言うのはよくないと思ってしまう。しかしアズールは遠慮するなという…気になることでもあるので言ってしまおうか。