第1章 1話
そして約束の日。
朝から身体が重い。16歳から漫画家を続けてきてこんなにストレスフルな出来事は無かった。
この岸辺邸に人が居座る?
しかも一個下の女の子?ふざけるな。テラスハウスじゃないんだぞ。美人ならまだ良しとするが、漫画家目指してる女なんてたかが知れている。オタクかいつまでも少女脳の、どちらにせよもさい女さ。
というか僕のファンだったらどうしようか。
めんどくさいな。いや、ハニートラップという可能性もある、、。
「露伴先生?も、莫大な量の独り言言っちゃってんだから[イタイ]んじゃないの??」
下から叫ぶように聞こえてきた声にはっとする。階段下を見下ろすと、いかにも19歳だなという感じの女の子がいた。
「勝手に入ってごめんなさい。でも露伴先生、チャイムに出てくれないんだもん」
彼女はちょっとあざといような、困った顔をしてみせた。
「、、ああ別にかまわないよ。君が母が言ってた谷子君かな?とりあえず、紅茶をいれるから入ってくれ」
僕は彼女を客室に案内した。
紅茶をいれ、彼女の正面に腰を下ろすと彼女はさっきまでの茶化した雰囲気は一変、緊張した面持ちになった。
「露伴先生、あたし今、杜王町のコンビニでバイトしてて」
急に改まって身の上話を始めたな。
面倒だな、と思いながらも初対面で上の空はさすがに失礼なので真面目なふりして聞く。
「バイトの人手が足りてないのでほぼ毎日シフト入れさせてもらえるんです。わずかですけど、それで得た収入を実家に入れてます。夜は
漫画を描きます。子供の頃から読んでた少女誌がやってる漫画スクールに毎月出す原稿です」
「、、そしてどうなの?成績は」
「基本名前は載らないんですけど、、でも!前にBクラスに名前が入ったことがあるんですよ✨」
Bクラス?少女漫画界のことは知らないがそれは果たしていいのか?