第1章 アダムとイブ
「……アリスか。」
「イブの荷物を受け取りに来ました。」
私は、あの方…カールハインツ様の元へ訪れた。
この方は…逆巻家の当主。
そして、私達…無神家の恩人。
私達は血が繋がっていない。
この方の為に…私達は、アダムの林檎計画を遂行しなければならない。
「アリスよ。
無神は慣れたか?」
「……いえ。」
私は、つい先日…ルキ兄達と出会ったばかり。
まだ自分に兄が出来たという感覚。
1人ぼっちじゃない空間。
そして…ヴァンパイアになった感覚。
それがまだ完全には受け止めくれていない。
カールハインツ様は、1ヶ月前…街を彷徨っていた私を拾ってくれた。
それまでの記憶はほとんどない私。