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恋、つまり、まばたき(R18)【カラオケ行こ!】

第2章 こわさと、やさしさ


もしかして狂児はわざと聞かせていた?やけにいやらしいことを言うなと違和感を持ったのも思い出した。

「なに?」

自分の顔をじっと見つめる楓を、狂児は不思議そうに見返してくる。

「狂児さん……あいつに、聞かせたかったんですか……?」

狂児は黙ってタバコを取り出し、口に咥える。楓は慌ててライターを取りに行き火をつけようとしたが、狂児はそれを制して自分のジッポで点けた。チタン製のそれはきぃん、と心地の良い音を立てる。

一息吸って大きく煙を吐き出す。

「俺の楓ちゃんに手ェ出すなんて、どう言うことかこれからキッッッチリ叩き込まなあかんな」

こわぁ。
楓は改めて狂児の職業について思いを馳せた。
おそらく男は事務所に連れ込まれ、これから一生飼い殺しにされるのだろう。
楓は深く考えないようにした。
狂児にあまり悪いことをして欲しくない。それが本音だったが、楓が言えるようなことでもない。

男たちがストーカーを連れて出て行った後、狂児は立ち上がってキッチンへ行き、タバコを消した。

「何食べたい?」




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