第6章 血濡れた面
美雲は刃が立たなかったと話しているし、もし十二鬼月だったとしたら選別に行く前に致命傷を負う、もちろん死だってあり得る。
しかし、美雲は最終選別も終え、歩いて帰ってこられる状態だった。
どうなっているのか見当もつかない。美雲も同じように困惑しているようだった。
仮説を立てる。
厄除の面からは禍々しい濃い鬼の匂いがした。山の鬼たちはその格上の鬼の匂いを恐れて美雲を避けた。
しかし、その鬼が美雲を生き残らせた意味だけは分からない。
美雲は稀血ではない普通の少女だ。
鬼はすでに2回、美雲に接触してきている。また接触してくる可能性は大いにある。今度は仕留めに来るかも知れない。
鱗滝は考えた仮説を話した後、美雲に忠告する。
「次会うことがあれば、必ず首を斬れ。
十二鬼月に目をつけられているかもしれない。人より早く強くなれ。鬼に殺されるよりも前に、鬼を倒せ。」
鱗滝は強く美雲の肩を両手で掴んだ。
この子には最終選別よりもきつい未来が待っている予感がした。