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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第6章 血濡れた面




夕食は美雲の好きなものを並べた。
それを嬉しそうに食べる美雲。最終選別を終えた安堵からなのか、いつも以上ににこにことしている。



食事を囲みながら、最終選別がどうだったかを話す。
美雲の話は不思議なものだった。



"鬼に遭遇しなかった"



そんなことがあるのだろうかと考える。藤襲山には飢えた鬼が多く捕らえられている。その山の中で人の匂いがしたら鬼は我先にと襲ってくるはずだ。遭遇しないなんてことはありえない。



美雲は剣術は優れている方だが、身を隠すのが特段上手いとは思えない。鬼から隠れずして、遭遇しないなんてこと…鱗滝は無言で考えていた。
そんな鱗滝の思いもつゆ知らず、美雲は選別の話を続ける。



「女の子の隊服はスカートを用意されたんですけど、動きづらいから男の子とおんなじやつにしてもらったんです!」



美雲が袋から隊服を出して美雲に見せようとした。
その時。コトンと面が袋から落ちた。選別へ行く前日に美雲に渡した厄除の面だ。



その面から目が離せない。自分が贈った面なのに、まるで違う物のように思える。漂う匂い。
美雲の帰った時に感じた、濃く強い"鬼の匂い"だ。

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