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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第6章 血濡れた面




藤襲山で大きな負傷を負っていなかった美雲はあっという間に鱗滝さんの家に戻ってきた。
面を入れた袋を横目でみる。深呼吸をして戸を開く。



「…戻りました!!」



戸を開けた美雲を鱗滝さんが強く抱きしめる。その腕は小刻みに震えて泣いているのだと分かった。
こんなにも私を心配して待っていてくれたのだ。肉親はこの世にはもういないが、自分の家族と呼べるひとはここにいる。温かな腕に美雲は身を委ねた。



~~~



美雲の姿を見た瞬間、湧き上がる感情があった。涙が流れることを堪えることなく、自分の腕の中に抱きしめる。
よくぞ戻ったと伝えようにもすぐに声が出なかった。自分の教え子を失うのは懲り懲りだといつも思う。しかし、目標に向かって努力する子どもたちを引き止めることは出来ない。いつもその葛藤と戦っていた。
生きて戻ってこられたことがたまらなく嬉しかった。



その嬉しさを感じながら腕に収まっていた美雲からそっと離す。
身体が離れた時にある匂いが漂う。



まぎれもない"鬼の匂い"___



選別で返り血でも浴びたのかと美雲の衣服を見る。汚れてはいるが血の匂いが漂うほどの汚れはない。



だがしかし、一瞬漂ったのは確かに濃い鬼の匂いだった。
喰った人の数で言えば、何百…いや何千と行くかもしれないと思うほどの禍々しい匂いだった。



美雲が離れるとその匂いも遠のいた。
気のせいだったのか…、と首をかしげる。


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