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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第6章 血濡れた面




7日前と同じ場所に立つ。
20人ほどいた剣士たちは5人になっていた。



藤の花の髪飾りをつけた少女たちが、例の声で淡々と話を進めていく。
疲弊しきっている剣士は誰も口を開かなかった。
隊服を支給され、鎹鴉を割り当てられる。黒光りした烏が肩にとまる。賢そうな顔を見て、そこいらでみる鴉とはまるで違うと分かる。遠慮がちに喉元を撫でるとチラリとこっちを見て、すぐに飛んで行ってしまった。鴉が飛んで行った空を見る。朝日が昇り。雲ひとつない青空だった。
その後、玉鋼を選ぶ。違いは分からなかったが、掌に収まりそうなころんとした石を選んだ。
自分だけの日輪刀。完成するまで時間はかかるが楽しみだった。



一連の話が終わると解散になった。生き残った剣士たちは重たい体を引きずりながらそれぞれの帰路についた。
美雲も来た道を帰る。竹林に差し掛かる。
童磨と遭遇した場所あたりで足を止める。日が高いせいか、あの時よりも辺りは明るく感じた。怪しい気配はない。
厄除の面を頭からそっと外す。面の真ん中に真っ直ぐな傷がついている。行きに童磨に割られ、そして童磨がくっつけたものだ。傷は赤黒く血のような氷のようなものでくっつけられている。



(…まさか)



鱗滝さんに貰ったものだからとお守り代わりに肌身離さずつけていた面に怪しさを覚える。確証はない。
何となく、鱗滝さんにこの面を見せていいのか迷った。そして、隊服を入れていた袋に面を押し込む。



美雲は竹林を走って抜けた。


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