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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第5章 呼吸





そんな目まぐるしい毎日を過ごして半年が経ったとき、鱗滝さんから告げられた。



「…今日までよく頑張ってきた。教えることはもう何も無い。
…この岩を切ることが出来たら、鬼殺隊の入隊試験"最終選別"を受けることを許可する。」



鱗滝さんが指す方には、人の背丈ほどある岩があった。 岩には紙垂がついた縄が巻いてある。風が吹くと紙垂がカサカサと揺れた。



岩を前に困惑した思いを鱗滝さんに向ける。
視線が合うとスッと逸らされる。何も言うことなく、鱗滝さんは背中を向け家は戻っていった。



岩と対峙する。その間を風だけが通り抜ける。



(…どんなものも切る)



深く息を吸う_____



「 全集中の呼吸… 」



刀を一気に振り下ろす。岩を切っている抵抗は感じなかったが、確か手応えを感じる。パサッと縄が地面に落ちる音がした。
ゆっくりと岩を見る。



確かに岩に刀傷が真っ直ぐに入っている。
しかし、岩は割れも崩れもしない。そこに切る前の姿のまま佇んでいる。



「…こ、これは切れたうちに入るの?」



佇む岩を前にもう一度刀を構え、振りかかる。



キィィンッ_____



先程岩に刀を振った時とは明らかに違う音がする。


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