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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第5章 呼吸




陽が昇る前に美雲は起きる。
布団を片付けて、朝食の下準備をする。まだ寝ている鱗滝さんの横を静かに歩いて外に出る。



山に登り、くだるのを繰り返す。朝日が見え始めたら、打ち込み台での打ち込みをする。
鱗滝さんが起きてくる時間に合わせて、朝食を温める。そして一緒に食事を取る。



午前は体力強化が主体の鍛錬を行う。
山登り、罠を避けながらの山下り、滝行、組手…。あっという間に昼になる。



昼食は鱗滝さんが作ってくれる。手伝うと申し出ても、休憩も訓練のうちだと断られる。
何もしない時間がどうにも手持ち無沙汰で、昼食を待つ間、外で呼吸の練習をする。大分呼吸を長く使えるようになってきた、なんて感じていると鱗滝さんに「休憩をしろ」と頭を小突かれる。



午後は刀を使った鍛錬。主には型を使っての打ち込みだ。
日々の鍛錬のおかげで呼吸と型、両方を連動させて動くことが出来るようになってきた。でも目指すところは、意識せずとも全集中の呼吸をして、流れるように技を出すことだ。
自分を"目指す姿"と重ねて身体を動かす。それはまるで水になりきるように。半分ずつで柄の違う羽織の影を自分に重ねる。
もっと速く、もっと正確に______。必死に影を重ねる。



気がつけば陽が暮れかかっている。1日があっという間だ。
美雲が気がすむまで鱗滝さんは待っててくれる。慌てて家に戻ると、美味しそうな食事と温かい雰囲気が出迎えてくれた。
このひとときは鍛錬の緊張感を忘れて、鱗滝さんと会話しながら食事を取る。




星空の下、また呼吸法の練習をする。
胡座をかき、肺に目一杯息を吸い込む。全集中の呼吸を休む間も無く、続ける事が出来たら…。そう考えながら呼吸を繰り返した。



その後自分が出来るようになったことが、"全集中 常中"という技だと知ったのは大分後のことだ。


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