第5章 呼吸
その日の晩、食事の時に昼間気になったことを鱗滝さんに聞いてみる。
「水の呼吸の型は10個で全てですか?」
「そうだ。水はどんな形にでもなれる。どのような戦果でも対応できる型が揃っている。」
「…自分で型を作る、なんてこともできるんですか?」
急にもごもごと話す美雲の姿に、なにかを遠回しに聞いていることは明らかだった。
「なにが聞きたい?」
はっきりと聞く。美雲は慌てたように答える。
「あ、いや、型を作りたいなんて大それたことは思ってません!
ただ、助けてくれた鬼狩りの方が水の呼吸を使っていたんですが、今日教えて頂いた中にはない型を使っていたので…」
「鬼殺隊の中でも水の呼吸を使う者が一番多い。それだけ育手も多いし、教える内容も方法も様々だ。
新しい型を作るのは容易ではないが、自身に合う呼吸を派生することもあるくらいだ。鍛錬を重ねた剣士の中には自分だけの型をつくる者もいるだろう。」