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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第3章 旅立ち




(…あぁ、やっぱり)



美雲は確信する。



(…みんな、母が鬼だったことを知っていたんだ。
家族を殺された人、自身を傷つけられた人…ここには大勢いる。仇の子供がここに居る。受け入れられてるなんて甘すぎた。心の底から湧き出る憎悪を抑え込んで、我慢して、一緒に過ごしてくれていたのかもしれない…)



膝にのせていた手をグッと握りこむ。
力を入れていないと嗚咽が漏れそうだった。気持ちが悪くてめまいがする。



(…私の居場所なんてどこにも…)




「 やめましょうっ!!! 」



部屋の一番奥で横になっていた青年が声を上げた。
視線が一斉にそちらに向く。



「…いろいろありましたが、それを乗り越えてこそ復興ではないですか。ここに居る誰も責められるべきではない。誰にでも非はある。
他の命を見捨てて自分だけ町を逃れた者、他人を蹴散らしてまで我先に逃げた者、事が収まるまで物陰で隠れてやり過ごそうとした者。勿論、僕だって転んだ子を助けようか迷っているうちに襲われた、結果その子は死んで僕だけ生き残ってる。
…美雲だって、好きで親を鬼にされたわけじゃない。」



彼の言葉に誰もが黙ったままだ。



「誰も責めちゃいけない。責めるべきは鬼がいるこの世だ。みんなですべてを乗り越えよう。それでこそ本当の復興だ。」



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