第2章 消えた雨粒
町に下りた美雲は鬼の前に立つ。なんて無謀なことをしているのか。
(あらら、大丈夫かな)
案の定、鬼は美雲へ向かって突進していく。
その瞬間、男が現れ美雲を抱えてひらりと舞い上がる。
現れる速度、身のこなし、そして腰に下げている刀。鬼狩りに間違いない。着地した屋根の上で美雲は鬼狩りと何か言葉を交わしている様子だった。
(…気に入らない)
その様子を注視する。すると鬼狩りだけ屋根を下りて、刀を構える。暴れている鬼を倒すようだ。
しかし、それを追うように美雲も屋根を下りる。その途中屋根に足を取られ着地で足を捻っていた。そのたどたどしさに思わず笑う。
(…必死になっちゃって可愛いなあ)
鬼と鬼狩りの間で手を広げて立つ美雲。
その背中から襲おうとする鬼。鬼狩りが動くも間に合わない___
童磨は扇を取り出し、構える。
「 血鬼術 蔦蓮華 」