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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第2章 消えた雨粒




「鬼の前で油断すれば待つのは死だけだ」



娘から目をそらして、話を変える。
威嚇してくる鬼を見下す。鬼であればこの程度の高さに飛びつくことなど簡単なことだ。
鬼を前にしている。いつ何とき攻撃を受けるか分からない。すぐに斬れる様に刀を抜く。



「…この鬼はお前の家族か」



「…私の母です」



刀を見ていた娘の目と義勇の目が合う。



(…勘は当たっていたか)



鬼殺隊として成すべきことは分かっている。しかし、鬼となっても娘にとっては母だ。目の前で斬ることに抵抗がないといえば嘘になる。



「お前の母は鬼となり、町の者たちを殺した。鬼は滅さなければならない。…その方法は首を落とすだけだ。」



簡単に了解が得られるとは思っていない。しかし、鬼はそのままには出来ない。これが現実だ。



「、、、なんとか母が生きら


「 ない 」」



くるだろうと思っていた言葉を食い気味に否定する。家族を生かしたい、人間に戻したいと思うのは普通であろう。でも、鬼というのはそんなに甘くはない。こころを持たず、そして人を喰らうのだ。



「鬼が人に戻る方法はない。人間の時の記憶はない。同情はするだけ無駄だ。」



娘の暗くなる表情。…絶望しているのだろう。

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