第2章 消えた雨粒
美雲に歩みよる人々。小さな肩に大きな掌が乗る。
「…美雲ちゃん。一人でよう頑張ったな。ここからは俺たちも手伝うから。」
町人たちがポンポンを肩を叩く。
生き残った者はみな、荒れ果てた町、傷ついた人々を見て、瞳は赤く潤んでいたが、前に進むしかないという光を見ていた。
戻ってきた町人たちのおかげで、作業のスピードは格段にあがった。時折鈴の音が鳴り、美雲は外での作業を離れたりすることはあったが、昼になるころにはすべての死者を埋葬した。
町全体を包む線香の香り。美雲は身体いっぱいにその空気を吸い込む。
「壊れた家は一度潰して新しく立て直そう」
「壁が汚れた家はどうする」
「磨いてみてダメだったらそこも立て直そう」
「そりゃあほとんど建て直しになりそうだな」
…待ち人たちの会話が聞こえてくる。
あの悪夢のような夜の出来事から一夜も明けていないのに、ここには復興の風が吹いている。
美雲は会話の主の下へ行く。そして頼んだ。
「町はずれにある私の家も壊してください」
「そりゃあいいけど、いいのかい??」
「誰も帰ることはないので。」
町人は困惑したようだが、深くは聞かず了承してくれた。
「…よぉし!今日から町の建て直しだな!!」
気合の入る声が辺りに響いたのだった。