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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第2章 消えた雨粒




富岡がいなくなり、辺りはまた静寂に包まれる。
周囲を見渡せばたくさんの町人が犠牲になったことが分かる。
鬼によってうまれた犠牲者。鬼になってしまった母。母を1人にしてしまった私。
元をたどると責任は自分にあるような気がしてならない。



あとからあとから後悔する___
そんなことをしても何も意味がない。前を向こう。



何から始めていいのか。一呼吸おいて考える。



死者の弔い。父の経験があるからやり方は知ってる。



犠牲になった町人たちの体勢を整えていく。投げ飛ばされた者、斬りさかたれた者、被害は一様ではなかった。その誰もが苦しそうな表情をしている。
少しでも楽になれるように。人々をゆっくりと動かし仰向けで横たわらせる。病人の看病をするかのように優しくそっと。
全員を横にさせるだけでも時間がだいぶ経った。犠牲は100人は優に超えた。鬼は町1つを潰しかけたのだ。



中にはまだ息のある者いた。生きている人は損壊の少ない住宅へ運んだ。火鉢で部屋を暖める。すぐ届くところに飲み水を置く。



「何かあれば呼んでくださいね。」



けが人たちに何かあったときにすぐ私を呼べるように、家にもどって鈴を持ってきた。昔縁日で父に買ってもらった2つの鈴がぶら下がった可愛らしいかんざしだ。
聞きなれた鈴の音は遠くにいても聞き分けられるだろう。
けが人の中でも意識がしっかりとしてきている者にかんざしを握らせる。

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