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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第18章 築く -音-




「…それなら良かった。その幸せ大事にしろよ。じゃないと、不死川が報われないからな。」


そう言うと宇髄はまた美雲の頭をぽんぽんと撫でた。今度はすぐに手が離れた。


「不死川さん?」


「…いや。じゃあ、またな。」


「はい、お気をつけて。」


宇髄はまたひらりと手を振ると、すっかり日の暮れた闇に溶けるように消えていった。さすが元忍びと言わざるを得ない、一瞬で姿を消した。


見送りを終え、玄関に戻ると、そこには冨岡が立っていた。


「…帰ったか。」


「はい、今帰られました。」


「…そうか。」


そのまま2人は見つめあった。
目を離すことなく、静かに冨岡の手が美雲の顔の方へ伸びてくる。しかし、その手は何にも触れる事なく元の場所へ戻った。


「?」


冨岡は美雲に背中を向けるように、自室へ戻ろうする。


「…今日は疲れただろう。早く休むといい。」


「?…ありがとうございます。」


そのまま冨岡は自室へ篭ってしまった。
美雲は食器を片付け、自室で一息ついた。布団に入れば、難なく夢の世界へ誘われ、意識を手放した。

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