第18章 築く -音-
お茶を用意した美雲も客間へやってくる。宇髄、冨岡の順にお茶を出す。茶受けに落雁も添えられた。宇髄はズズッと茶を啜る。
「しっかし何にもない屋敷だな!地味って言葉がぴったりだ!」
部屋を見渡しながら宇髄が話す。その言葉に美雲は笑う。
「宇髄さんのお屋敷は派手派手なんですか?」
「あったりまえだ!」
「ふふふ、ちょっと見てみたい。」
宇髄と楽しげに話す美雲。ころころと鈴が転がるような笑い声が部屋に響く。2人の姿を冨岡は黙って見ていた。
「じゃあ、お夕飯すぐ作ってきますね。宇髄さんは任務終わりでしたよね、お食事が出来るまで休まれますか?お布団敷きますよ。」
「おー、気が効くじゃねぇか。いい奥さんになれるぞ。でも、休むほど疲れてねぇから大丈夫だ。ありがとな。」
「もー、何言ってるんですか。じゃあ、急いで作ってきますね!」
美雲はパタパタと炊事場に消えていった。
客間には冨岡と宇髄と2人きりになり、無言となる。気を利かせて話し出したのは、この屋敷の主人ではなく宇髄だった。
「女と共同生活はどうだ?」
口を開いた宇髄はにやりと笑う。
「…どうとは?白石はよくやってくれている。」
「堅い奴だな。…まあ仲良くやってんなら良かったよ。冨岡は無口だから少し心配だった。」
「…別に無口ではない。」
いやどう見ても無口だろ、と宇髄は思わず苦笑いをする。