第18章 築く -音-
屋敷に着き玄関を開けると、既に冨岡が立っていた。出迎えなどされた事がないので、何事かと思ってしまう。
「冨岡さん?どうされました?」
「…宇髄の声がした。」
「…よぉ!冨岡!」
どうやら屋敷に近付いてくる声が美雲1人だけでは無かったので、玄関まで出てきたようだ。
「女に荷物持たせるなんて、冨岡も地味な男だなぁ!」
そう言われて冨岡は宇髄が担いできた野菜たちに視線を落とす。その視線は次に美雲に向けられた。
「…すまなかった。」
「え!いやいやいや!私が買いすぎちゃっただけなので!!」
「次は手伝う。」
「あ、は、はい。」
そう言うと、冨岡は宇髄が下ろした野菜を持った。
「感謝する。後は俺が変わる。」
宇髄はその言葉を聞き、顔を顰める。
「おいおい、ここで帰すつもりか?茶くらい出せよ。ついでに飯も勧めるところだろうが。」
宇髄の言葉に今度は冨岡が顔を顰めた。
なんとも言えない雰囲気に耐えかねて、美雲が口を開く。
「宇髄さん!荷物運んでくださって、ありがとうございました!お茶入れますので、どうぞ上がって下さい。お夕飯、今から作るので、お時間宜しければ一緒にどうですか?」
「そうそう、そう来ないとな!それが歳上への態度ってもんだ。」
美雲の言葉に宇髄は満足そうな表情で頷く。ズカズカと屋敷に上がった宇髄を、冨岡はなんとも言えない表情で見ていた。
美雲の案内で客間に通された宇髄はどかりと座る。炊事場に野菜を運び終わった冨岡もその近くに腰を下ろす。