第17章 芽生え -恋と蛇-
「ふふふ、そうなの。でも今日はまだそんなに食べてないけど。みんなで食べると余計に美味しく感じるわ!」
ニコニコと話す甘露路の笑顔が眩しい。
「可愛くて、優しくて、強くて…。蜜璃さんって素敵ですね!」
思わずそう本音を漏らすと、伊黒は当たり前だと言わんばかりに、美雲を見やった。
「っ!素敵だなんで!もう!恥ずかしいわ!!でも、すごく嬉しい!!」
キャッキャッと声を弾ませる甘露路につられるように美雲も笑顔になった。
そんなこんなで甘露寺と美雲が主に会話をし、伊黒が相槌を打ち、冨岡がちょこんと座っているという状態で過ごした。
話をしていると時間があっという間に流れ、先に食べ終わっていた冨岡と美雲も、甘露寺、伊黒たちと同じタイミングで店を出ることになった。
4人でぞろぞろと歩く。そのうちに美雲は伊黒と甘露路に挟まれた。冨岡は少し前を歩く。1人と3人の構図になっていたが、冨岡は気にしていない様子で歩き続けている。
「な、なんですか?」
柱に挟まれるという異様な状況に美雲は不安げに訊ねた。
「美雲ちゃん、どうなの?冨岡さんとの生活は。」
そんな美雲に甘露路がずいずいと身体を寄せて話をする。
「え?あぁ、初めはなかなかペースでを掴めなくて不安になった時もありましたけど、今は冨岡さんの人柄も分かって居心地の悪さはなくなりました。共同生活もいろいろ配慮してくれるし、任務でも学ぶことばかりです。」
「冨岡がそんな気を遣えるやつだったとはな、にわかには信じられない。」
「意中の殿方と毎日同じ屋根の下でドキドキよね!!」
甘露路はフンフンと鼻息を荒くする。突然投げかけられた言葉に美雲は慌てて訂正を入れる。
「い、意中の相手って!!何言ってるんですか!!」
その言葉に伊黒と甘露路は思わず顔を見合わせた。