• テキストサイズ

【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第16章 読めない心




ある程度済んだところで襷を外す。
身体を拭き、寝衣用の浴衣へ着替える。夜通し屋敷のことをやっていられそうだったが、任務同行は明日からだ。迷惑をかけることがないように、万全な状態で臨む必要がある。


布団に入る。朝、冨岡が帰ってくる姿を思い浮かべる。どんな朝ごはんを作ろうか、味付けの好みは、苦手な食べ物はなにか…。考え出したらきりが無かった。


(…どうしたら冨岡さんの役に立てるかな。)


頭の中が冨岡でいっぱいのまま、美雲は眠りについた。とても穏やかであたたかい気持ちに包まれていた。


美雲の寝る小さな部屋に朝陽が差し込む。少し伸びを布団からおきる。袴か隊服か迷いつつ、隊服に着替える。
屋敷の中は静かなままで冨岡はまだ帰宅していないようだった。冨岡が居ないと手持ち無沙汰になってしまう。昨日の夜、掃除したばかりだったが、また床掃除から始める。


屋敷の床を全て拭き終わっても、まだ冨岡は帰宅しない。庭を箒で掃き、押入れにしまってある布団からシーツを外す。洗濯板でゴシゴシと洗い、シワを伸ばしながら干していく。


「…何をしてる。」


ふと後ろから声をかけられ振り返る。


「冨岡さん!おかえりなさい、任務お疲れ様でした。時間がありましたので、掃除などしておりました。許可も取らず申し訳ありません。」


「…構わないが、身体は大丈夫か。」


「はい!何の問題もありません!あ、お腹は空いてみえますか?お食事のご用意も出来てます。」


「白石はここに柱の仕事を知るために来ている。それ以外のことをする必要はない。」


冨岡は真っ直ぐに美雲を見つめ、言葉を放つ。昨日も言われたことだ。抑揚もなく、冷静に告げてくる言葉は、美雲を突き放すようだった。
/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp