第15章 柱合会議
「…今まで稽古してくださってありがとうございました。昨日鬼を倒せたのも不死川さんのおかげです。何度御礼を言っても足りないくらいです…。不死川さんがいてくれたから…」
美雲が正座した膝の上でもじもじと手を動かしながら、言葉を探しつつ話しているようだった。不死川の視界の隅に美雲の俯く顔が映る。前髪の隙間から長い睫毛が見えた。
美雲と目が合えば、ようやく捻り潰した欲がまた溢れ出しそうで、そちらを向くことが出来なかった。美雲の顔が前を向く寸前に、また視線を外に移した。
「…もう帰っていいかな。会議は終わったよね。」
美雲が言葉を続けようとした時に、声を出したのは時任だった。「じゃあ。」といって部屋を去っていく。
「俺も失礼する。」
「伊黒さんが行かれるなら私もっ!美雲ちゃん、またね!」
「私も失礼する。少女の健闘を祈願している。」
ぞろぞろと退席していく。不死川もその流れに紛れるかのように出ていってしまう。
「あ、不死川さんっ!!」
美雲の声に振り返る事なく、不死川は行ってしまった。美雲は急に出来てしまった心の壁にシュンとした。その肩にポンと手を添えられる。
「不死川さんも可愛い教え子を冨岡さんに取られて寂しいのでしょう。」
「…しのぶさん。」
「それは違うな!あれは派手に男の顔だった。美雲も罪な女だな。」
美雲としのぶの間にズイッと割り込むように宇髄が声を高まらせる。それはまるで何かを楽しんでいるかのような声だ。
そんな宇髄にしのぶは溜め息をもらす。