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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第15章 柱合会議




「たしかに実弥について貰おうかとも考えた。でも、また無理をして昨日のようになっては心配だ。実弥は面倒見がいいから、無意識に無理をしてしまう。…だから今回は義勇の方が適任と判断した。分かってくれるかな。」


昨日のことを言われてしまい反論出来ずに、不死川は奥歯を噛みしめる。


「…し、しかし!!」


不死川の取り乱したような様子に、柱たちの視線が集まる。
まだ言葉を続けようとした時、がしりと肩を掴まれる。


「御屋形様の決定された事だ。」


ビクともしないその屈強な悲鳴嶼の手に制された。不死川は立ち上がろうとしていた腰をストンと落とした。


「…失礼をお許し下さい。」


「実弥が美雲を大事に思う気持ちはよく分かるよ。皆で育てていこうね。」


「…御意。」


"皆で"という言葉が不死川の耳に張り付く。後輩隊士の成長を皆で見守る、とてもいいことだ。そのほうが成長にも繋がる。
分かっている。それなのに。どこか腑に落ちない気持ち。昨日まで身近に感じた美雲の存在がどんどんと遠くなってしまう気がした。



美雲が屋敷を出ていく時、引き止めていれば。十二鬼月と遭遇することなく、これまでと変わらない日々が続いていたはずだ。
鬼を倒したことを喜ぶべきなのに、こんな事考えてしまう自分をどうかしていると揶揄する。



自分に湧いてしまう独占欲を意地で捻り潰す。
鬼を殲滅すること。本来の目的を思い出し、己を律する。
動揺を消し去るかのように不死川は身を正した。そこには柱の不死川の顔が戻っていた。



「いいかな、義勇。」


「御意。」


冨岡の返事をもって、柱合会議はお開きとなった。御屋形様が退席されるのを見送り、部屋には柱と美雲だけが残った。
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