第15章 柱合会議
「皆、先程話で挙げた美雲だよ。柱になる提案もしたけど、話し合って今は見送る事にした。次期候補という形で、柱に同行してその仕事や技を学んでもらう。それを頼めるかな? 義勇。」
御屋形様の言葉で美雲に集まっていた視線は一気に冨岡へ移る。
「嗚呼、水柱に水柱候補をつける…。中々に残酷な事のように思う。南無阿弥陀仏。」
ジャリジャリと数珠を鳴らしながら悲鳴嶼が手を合わせる。
「美雲さんがついてくれるなら、冨岡さんとの連絡がやっとスムーズに出来そうです。まぁ、連絡することもあまりありませんけど。」
「確かに派手に話が通じないもんなぁ、冨岡は。仲介役が出来るのは有難いな!」
「俺もその方が有難い。冨岡など出来る限り関わりたくもないからな。」
「私は御屋形様のご意向に従います!
( 美雲ちゃん可愛いわぁ!早くお話してみたい!)」
「うむ!甘露路に同じく!」
「…僕はなんでもいいです…。」
次々に意見を言っていく中、不死川だけは黙っていた。少しの間があった後、口を開く。
「…どうして冨岡なのですか?」
不死川の視線はまっすぐ御屋形様だけに向けられていた。
美雲が冨岡に同行すると聞いた時、胸がチクリと痛んだ。
それまで稽古についていたのは俺だ。俺が美雲の才能を見出した。冨岡よりも美雲の良いところも悪いところも知っている。