第15章 柱合会議
「そうかい。よく分かったよ。無理矢理 柱にさせるつもりはないから安心して。実弥も"まだ早い"と言っていたし、美雲はもっと経験を積むといい。そしていつか、柱就任の提案を受けてくれるのを待っているね。」
その優しい言葉に美雲は深く頭を下げる。
「ご期待に応えられるよう、日々精進して参ります。」
「うん、頑張ってね。…ところで美雲。」
名前を呼ばれ、顔をあげる。
「鱗滝殿から君を追っているかもしれない鬼のことを聞いている。もしそれが十二鬼月、ましてや上弦の鬼であれば今回のようにはいかないだろう。狙われているかもしれないのに、それを見過ごすことはしたくない。
そこで、柱と共に行動してはどうかな。そうすれば、美雲を守れるし、柱の仕事を知る事もできる。」
「それは…有難い提案ですが、私のような隊士が柱につくなど、迷惑になってしまいます。」
おずおずと困った顔を浮かべる美雲を諭すように産屋敷は言葉を続ける。
「子の身を按じる親心を分かってくれるかい?狙われているかもしれないのを放っておきたくないんだ。」
「…御屋形様がそこまで仰るなら…。…よろしくお願いします。」
御屋形様に"親心"と言われてしまっては、それ以上断るのは失礼に感じ、美雲は提案を受け入れた。しかし、やはり一隊士の私が柱に守って貰うなどおこがましい気がしてしまう。自分の身を自分で守ることさえ出来ない未熟さが悔しかった。