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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第13章 募る




美雲は庭にある井戸で水を汲み上げ、桶に溜めた。桶を運び、静かに不死川が寝る部屋へ運ぶ。手拭いを濡らし、絞ったものを不死川の額に乗せた。



(…今日はまだ任務があるって言ってたよね。)



この調子では任務へ行くのは難しそうだ。次に控えている任務の内容は知らない。はたまた、既に任務の時間に遅れているかもしれない。全く分からなかった。
ただ、無断で任務を休むことなど不死川は絶対許さないということは分かる。



迷いながら、美雲は筆をとった。
縁側で鴉を呼ぶと、ふわりと姿を現わす。手紙を渡すと、日の眩しい青空へ飛んで行く。羽ばたく先は未だ御姿を拝見したことのない御屋形様のもとだ。



その後も不死川は眠り続けた。額の手拭いはすぐに熱くなってしまうので、まめに交換した。
どのくらい時間が経ったのか、美雲の鴉が戻ってきた。足に手紙が結んであり、それを解く。差出人を見て、思わず背筋を正す。



___
実弥のこと、知らせてくれて有難う。任務は調整できているので、何も心配はいりません。この機会にゆっくりと身体を休めるよう伝えて下さい。

追伸
実弥がちゃんと静養するように、美雲が見張っていてね。

産屋敷耀哉___



お会いしたことはないが、何とも柔らかな雰囲気が感じ取れる文面に思わず笑みがこぼれる。



("見張っていてね"って)



読み返してはクスクスとする。不死川の顔色も随分と良くなってきており、手拭いの交換も時間が空くようになってきた。そろそろ目が覚めそうだなと炊事場へ向かった。

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