第12章 弟子入り志願
「…その意気込みは褒めてやる。だがな、そこらの隊士を継子にしたり、稽古に付き合うつもりはねェんだよ。弱い奴は嫌いだァ。」
美雲の申し出は呆気なく断られる。しかし、この結果は想像していた。美雲は引き下がらない。
「お願いしますっ!!強くなりたいんですっ!!」
必死に頭を下げる。
「無理だァ。」
不死川は何度も何度もキッパリと断る。それでも食い下がらない。平行線のやり取りが続くばかりだった。
「お、お願いします…ッ」
頭を下げながら、涙が滲む。これだけ明確に断られているのだから諦めなければならない。任務外で柱に迷惑をかけるなど言語道断だ。諦めろと自分に言い聞かす。
「…チッ。ンな事でいちいち泣くなァ。前も言ったが、つくづくめんどくせぇ奴だなァ。」
不死川は腕を組みながら美雲を見る。
「…階級を甲まで上げてみろォ。それが出来たら、稽古のこと考えてやる。」
不死川の言葉に美雲はパッと顔を上げ、きらきらと目を輝かせる。
「ありがとうございますっ!!!必ず!必ずっ!甲になって、不死川様のもとへ来ます!!今のお言葉、忘れないで下さいねっ!!」
居ても立っても居られないと言った様子で美雲は不死川邸を出て行った。
階級 甲というのは最上位だ。つまりは柱に近い隊士。そんな簡単に届くものではないのにあの喜び様だ。
(…面白ェ。出来るもんならやってみろォ。)
不死川は少し顔を緩ませた。