第11章 再会
「あら、こんなところでどうしたんですか。顔が赤いですね。」
廊下で座り込む美雲に声をかけたのはしのぶ様だった。美雲を覗き込むと、その額に手を当てる。
「熱は無いようですね。今夜から任務でしたよね、体調が悪いようなら早めに知らせたて他の隊士に代わってもらった方がいいですよ。」
「い、いえ!!大丈夫です!!」
慌てて立ち上がる。
「それなら良かったです。
それはそうと冨岡さん、見ませんでした?あ、冨岡さんって分かります?仏頂面した人なんですけど。」
「あ、冨岡様ならあちらへ行かれました。」
「知っているんですね。もう、急に来て何事かと思えば屋敷をうろうろして。困りますね。」
「同じ育手にお世話になったものですから…」
「そうなんですね。じゃあ、冨岡さんが兄弟子ということになりますね。冨岡さん、お友達がいなくていつも1人なので仲良くしてあげてください(笑)」
しのぶ様の話は若干冨岡さんへの弄りを感じるが、柱同士、理解し合っているようにも見えて、少し気後れした。
「…仲良く、だなんて。私みたいな一般隊士じゃおこがましくて出来ません。…任務、行って参ります!本当にお世話になりました。」
深くお辞儀して、その場を離れた。冨岡さんとの再会で、手の震えはとっくにおさまっていた。
アオイさん、すみちゃん、なほちゃん、キヨちゃんに涙ながらに見送られ、任務に発った。