第11章 再会
「…泣いていたのですか?」
縁側に腰をかけたすみちゃんに声をかけられて驚いた。知らぬ間に涙が流れていたようだ。
「…ううん、なんでもないよ」
サッと涙を拭う。3人が心配そうに顔を覗いてくる。
「さぁさぁ、戴こう〜!」
その雰囲気を吹き飛ばすように声を出す。3人はおずおずといった様子でお茶を持った。
縁側で4人でお茶を飲む。温かな風が吹き抜けた。
安静が解除された翌日から、美雲は密かに体力作りを開始した。
アオイさんに見つかると怒られそうなので、散歩と言って屋敷をぐるぐると歩き回る。肩は固定していないといけないので、下半身中心に鍛える。
身体を動かせば動かすほど、狭霧山での鍛錬を思い出し、以前のような身体の感覚が蘇ってくる。目を閉じ、感覚を研ぎ澄ます。型の時の足運びなども行ってみる。
(早く刀を握りたい…)
「…美雲!美雲!…もう!いつもこうなんだから!」
アオイの声も届かない。アオイとともに美雲を見ていた胡蝶が笑う。
「まあまあ。順調に回復しているようですね。」
ため息をつくアオイと胡蝶は美雲を背に屋敷に戻って行った。