第11章 再会
しのぶ様の言葉にほっと胸をなで下ろす。
この重たい体も徐々に感覚を取り戻し動かすことが出来るのだ。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。」
しのぶさんは笑顔でそう言うと、部屋を出て行った。アオイさんと二人きりになる。
「いいですか?床上安静ですから、絶対に一人で起き上がったりしないこと。何かあればすぐに呼んでください。」
キビキビとした口調で、安静の念押しをされた。
「はい。」
アオイさんの言葉に返事をする。鍛錬をして早く自分を取り戻したいと思うが、この身体の状態では、治療に専念しなければいけないのだろうと流石に分かる。
素直に返事をした美雲をじっと見ると、アオイさんは再び口を開く。先ほどより語気は少し穏やかになった。
「…いま何かして欲しいことはありますか。」
思いもしなかった言葉に目を丸くした。
意識を取り戻しても自由に動けない美雲の気持ちを汲もうとするその言葉に、アオイさんの優しさが伝わる。
「大丈夫です。」
笑顔でそう返す。アオイさんは美雲の布団を綺麗に整え、部屋を出て行った。