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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第10章 圧倒的な力




【不死川side】



鎹鴉が緊急の任務を伝えに来る。
「隊士、大勢死亡ォ!十二鬼月ノ可能性アリィ!!西へ急ゲェ!!」
伝え終わるよりも前に屋敷を出る。鴉が慌てて跡を追ってきて、道を誘導する。



走る途中で鬼の気配が強くなる。鼻が特別効く訳でもないが、周辺には血の匂いが立ち込めていた。そして、風にのって微かに違和感のある匂い。経験的に呼吸を抑え、吸い込まないようにする。



戦いの場が遠くに見えてくる。
鬼を中心として、隊士と思わしき黒い服をきた人影が重なるように何人も倒れている。服から覗く手や顔の色を見て、既に息絶えていると分かる。



鬼の前には隊士が一人。
鬼に向かって、見たことのない構えをする。隊士が構えると暗雲が立ち込めてくる錯覚を覚える。叩きつける雨の如く、鬼の懐に流れ込み一気に切り込む。



(…あれはやったかァ)



技の速さと精度は申し分ない。鬼の首を斬れるだろうと思った。
しかし、次の瞬間、白い柱が吹き上がり、ドオンッドオンッと爆発が続く。不死川にも強い向かい風となって爆風が届く。
斬り込みに行った隊士は爆風で姿を見失った。あれだけ近距離で爆発をあびたら命が危うい。不死川はさらに足に力を込め、急いだ。



爆発で巻き上がった煙が徐々に引く。
あの隊士は…何とか立っていた。しかし右肩は大きくえぐれ、血が吹き出し、だらんと落ちている。既に意識が保てているか怪しい。
鬼は既に斬れかかった首を回復し始めている。鬼が攻撃してくるのも時間の問題だ。
立ち尽くす隊士の行動に不死川は目を疑った。隊士は自分の右肩をおさえる。



「ァァァアアアア゛ッ!!!」



隊士の叫びが聞こえる。


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