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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第8章 初任務




「食事の準備が出来ていますよ。しっかり食べてお休み下さい。」



おばあさんの言葉に頷く。
温かな食事を戴く。食事の後、布団に横になった。外は明るい昼なのに、眠りにつくのは一瞬の様だった。沈むように意識を手放す。



夢を見た。
1人うずくまっている少女がいる。暗い暗い闇の中で。
周りからは何かざわざわと音が聞こえるが、それが何の音なのかは分からない。雑音は人の声のようにも聞こえるがはっきりと聞きとれない。
ふとあげた顔。その顔を見て驚く。それは私自身だった。少し風貌が違うが間違いない。その瞳はどこを見ているのか、ぼんやりと彷徨う視線。
探しているのは自分を呼ぶ声なのか、この闇を照らしてくれる光なのか。
視線は何も捉える事なく、また下を向く。
心はどんどんと沈んでいく。自分が自分でなくなる。感情が消えていく。
息苦しかった。どんどんと闇が深くなっていく_____



目が醒める。背中にじっとりと汗をかいていた。
ずるずると布団から這い出て、襖を開ける。すっかり夜になっていた。
夜風が部屋に流れ込む。汗ばんだ身体を涼しくする。
縁側に出て、腰を下ろす。頭上にはお月さまと星々が輝き、静かな夜だった。
闇に紛れていた鴉が美雲の肩にとまる。



「すっかり疲れも取れたよ」



鴉を撫でると、カア!と鳴いた。
美雲の鴉は任務の時は言葉を話すのに、それ以外では声を出さない。口下手なのかと思って執拗に問いかけたりはしなかった。要所要所で寄り添ってくれる姿を見れば私を気にかけてくれているのは分かる。
2人で静かに夜空を眺めた。


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