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【鬼滅の刃】 彷徨う水面

第8章 初任務




鬼は川に再び溶け込み、その姿を消す。
川幅が広いため攻撃の際に川に足が入っていた美雲は危険を感じ、川から出ようとする。しかし、足が動かない。
川に溶け込んだ鬼が美雲の足を掴んでいた。



(回避が遅かった!)



そう思った時には、既に川に引きずり込まれる。流れの荒い川の中で振り回される。水中では息が続かない。
必死に息を堪える。刀を振ろうにも、浅い川の中で引きずられるために、川底の石に刃が当たり構えられない。身体が空気を欲する。それでも息を止め、チャンスを窺う。
鬼の動きは不規則に見えて岩を避けて動いている。言い換えれば岩をターンするように動いている、岩が基点だ。岩周辺は水流が速くなり、川床が削られるように他より深くなる。
引きずり回されながら、岩を回るタイミングを待つ。
そして、読み通りそのタイミングが来る_____



(陸ノ型 ねじれ渦)



解放された身体を一気に水面から出す。



「ガハッ!!ゴホゴホッ」



求めていた空気が肺に一気に流れ込む。息が荒くなる。
肩を上下させながらいそいで鬼を確認する。岩にしがみつく姿があった。その身体に頭はない。美雲の技は鬼の首を両断した。
頭はぶくぶくと川に沈んでいく。沈む途中ではらはらと崩れていく。それと共に身体も崩壊していった。



「…任務、完了」



川辺にぺたりと座り込む。その肩に鴉がとまる。
頭の先からつま先までずぶ濡れで冷えた身体に寄り添う鴉の体が温かかった。鴉に頭を近づける。



「しょっぱなから死ぬかと思ったぁ〜」



気の抜けた声を出す。鴉も頭を擦り寄せてきた。健闘を讃えてくれたかの様で、美雲の気持ちも和らいだ。


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