第1章 はじまり
母は相変わらず抜け殻だった。
私は母を心配しながらも家からでて、家の近くの木陰に穴を掘る。1人ではなかなか重労働だ。だが今の美雲にはちょうど良かった。
悲しみ、感謝、責任…自分の中でごちゃまぜになる感情を消し去るように、一心不乱に穴を掘った。
「お母さん、準備できたよ。お父さんを寝かせてあげよう」
母は私をちらりと一瞥した
「、、、随分落ち着いてるのね。、、、お父さんがッ、亡くなったのに!!!どうしてそんなに飄々としていられるの、、、」
私に向けられる鋭い視線。それは針のように私に刺さる。
「、、、昨日ね、仕事から帰った時お父さん起きてたの、、、。お母さんのこと"大切なひと"ってずっと言ってたよ、、、」
父がどれだけ母のこと、家族のことを大切に思っていたのかを伝えたいのに、うまく言葉にならない。
「…どうして起こしてくれなかったの、、、うわわわわぁぁぁぁ…」
母は父と私にすがるようにで大きな声で泣いた_____