第1章 はじまり
母の背中をさすり続けた。どれだけの時間が過ぎたのか、昼に掘った穴に父を寝かせたのはすっかり夜になった頃だった。
泣き止んで呼吸を整えたところで、母と私、どちらからというわけでもなく、2人で父の亡骸を運んだ。
背が高く男性らしい体つきの父だったが、女2人でも十分運べた。
ザッザッ、、
静かに土を被せていく。埋葬が終わるまで口を開かなかった。
土に線香をたててを合わせる。
日が落ち、キュッと身体を震わすような寒さがあった。空気は乾き、空は澄んでいる。頭上にきらきらと数えきれないほどの星々が瞬く。
深く息を吸えば線香の香りと冷たい空気が身体に流れてきた。身体の隅々までまで行き渡る。気持ちが生まれ変わるようだった。
父との思い出も、父の思いも全てはここにある。
私は前を向いて生きていかなければいけない。
凍てつく冬本番を目の前に
母と二人三脚の生活が始まった_____