第7章 色変わりの刀
3人で他愛もない話をしていると、窓から一羽の鴉が舞い降りる。
鴉は美雲に向かって任務を告げた。
美雲は鴉をそっと撫でると、最終選別の時のように鴉はふわっと飛び立つ。
「…鱗滝さん、鉄穴森さん。行ってきますね!」
すぐに出発するのは正直さみしかった。
しかし、鬼が出ている以上、一刻も早く任務に向かわなければ助けられる命が減るかもしれない。この道を選んだのは自分自身だ。さみしさを押し殺す。
「…頑張れ、美雲。いつでもここに寄りなさい。」
「刀の事で何かあれば手紙を送ってください。どこでも駆け付けます。」
二人の言葉を胸に止める。深くお辞儀をする。
顔が見たら泣いてしまうから、目を合わさずに戸に向かった。そのまま振り返らずに外に出て、戸を閉める。
(ああ、こんなことで泣いて)
こぼれた涙を拭う。木にとまっていた鴉が美雲の肩にとまり、励ますように頭を寄せてくる。美雲が撫でると、今度は飛び立たずに身を寄せてきた。
「…ありがと。これからよろしくね。私がんばるからね!」
#NAME1が笑って見せれば、鴉はハツラツとした声でカア!と鳴いた。
二人で新たな一歩を踏み出した。