第7章 色変わりの刀
自分の刀を持ったのは初めてなので、手入れの方法なども確認しておく。気になったことはその都度聞いた。
「白石殿は勉強熱心ですね!刀を大切にしてくれそうで私も嬉しいです。」
鉄穴森さんが嬉しそうに話す。
「研ぎ石を持参してますので、鱗滝殿の刀も手入れしておきましょうか。」
「ああ、お願いする。」
鱗滝さんが2本 刀を差し出した。鍛錬で使っていた2本だ。
鉄穴森さんが慣れた手つきで刀を研ぐ。シャッシャッと気持ちの良い音がする。1本目の刀を研ぎ終わり、2本目の刀を鞘から抜く。
「おお、こちらは結構刃毀れしてますね。里に持ち帰って打ち直した方が良さそうです。鱗滝殿、一度お預かりしてもいいですか?」
鱗滝さんが頷いて承諾する。
「…私に貸してくださってた方の刀ですよね。申し訳ないです…。」
美雲はバツが悪そうに謝罪を口にした。
「それだけ懸命に鍛錬されていたということですよ!ね、鱗滝殿。」
「…ああ。美雲は刀を持ち始めてまだ1年少しだ。徐々に刀の扱い方も分かっていくだろう。」
2人が美雲に励ましの言葉をかける。2人の優しさが嬉しくて心がむず痒くなる。美雲は笑顔を返した。