第1章 出逢い
『私のスタンドです。ミネルウァって呼んでます。』
「ミネルウァ…」
ミネルウァは確かローマ神話に出てくる神の名前だ。医学や知恵を司る神だと聞いたことがある。
「能力は何だ。」
その女が視線を落とす。
『殆ど使ったことはありませんが
例えば、人に病を与えることができます____』
息を呑む。
病を人に…?
「今まで…その能力を殺害に使ったことは。」
『…あります。』
夢主が光の無い瞳で俺を見つめた。
「一体何故…」
その時、突然
窓の外に何者かの気配を感じた。
「伏せろ_____っ!!」
爆発音と共に窓ガラスが物凄い音を立てて割れる。
咄嗟に女を抱き締めるように庇って、そのまま床に倒れ込んだ。
背中にガラスが突き刺さり顔をしかめる。
「…っ……おい、大丈夫か。」
女は気を失っていた。
【チッ、はずれかよ〜。おい男!そこのちっこい日本人の女、渡してくれねぇか?】
恐らく、この男がさっき言っていた例の組織の人間だろう。
【おいおいおい、まさかオメェの女とか言わねぇだろうな〜?今のうちに俺達に寄越した方が身の為だぜ?】
「何故この女に拘る。」
【ああ?組織の犬にするんだよ!死ぬまでな。
知ってるか?そいつぁ病を与えるだけじゃあなくて、DNAを操作して人間の寿命だって延ばせる。身体ん中の物質なら何だってできんのさ。こんなスタンド他にあるか?すげぇだろ?】
男が高笑いする。
【しかもこんなジャポネーゼの女なんざ、抱く機会ねぇしなぁ〜?
ゆっくり俺達で楽しませて貰いたいなぁ?】
男の言葉に、反吐が出そうだった。
【ほら〜早くしろよ?
…って、ぎゃああああああ!?!?
め、目がぁぁ!?目が見えねぇぇ何だこれ!?い、いてぇ!!】
メタリカで男の目を潰した。
そして俺は、夢主を抱きかかえその部屋を出た。