第1章 出逢い
『あ…私、あの……』
女が溜息をついた。
『私は、夢主と言います。
一年前観光客としてイタリアに来た私は、ある組織の人間に拉致されました。それをジョルノ……パッショーネのボスが救ってくれたんです。』
ジョルノ…まさかあの、ジョルノジョバーナか?
俺達のボスになった若いギャングスターの噂は以前から聞いていた。
『その時拉致された組織は私の想像以上に危険な組織だったそうです。組織の存在を知ってしまった私は、日本に帰ることも、普通に生きることも出来ないとジョルノに言われました。』
「危険な組織だと?一体どんな組織だ。」
女が首を横に振る。
『分かりません…。
それからはジョルノやその仲間と生活を共にすることになりました。』
ただの日本人の観光客が、ボスでさえ警戒する危険な組織に拉致されたのか…?妙な話しだ。
『以前ジョルノから暗殺チームの話を聞いたことがあって、貴方に会ってみたかったんです。リゾットさん。』
「何故…俺と会いたいと思った。」
女は一瞬口をつぐみ、そして話し出した。
『自分のスタンドのコントロールの仕方…いえ、上手く付き合っていく方法を教えてほしいんです。』
「お前…スタンド使いか。何のスタンドだ。
今ここで見せてみろ。妙な動きをしたら…殺す。」
『分かりました。』
女を一時的に解放した。
突然、眩ゆい光と共に側にそのスタンドが現れた。
俺は一瞬、そのスタンドに魅入った。
翼のある真っ白なスタンドだ。もし天使が本当に存在しているなら、きっとこんな感じなのだろうと思うような姿だった。
瞳は真っ白な身体とは対照的な漆黒で、ジャポネーゼのこの女とよく似ていると感じた。