第8章 安らげる場所_8章
ベポに部屋に運んでもらってベッドに横になった。
久しぶりにサボに会えたのに、嬉しいはずなのに
マリアは複雑な気分であった。
しばらくすると、ローが軽食を持って
部屋に入ってきた。
何も発さず、マリアの食事を
ベットのサイドテーブルに雑に置き、
ローは机に向かい、
おにぎりを頬張りながら新聞を見始めた。
マリアは気まずそうに「いただきます」と
小声で呟きご飯を食べ始めた。
終始二人は無言であったため、
部屋はご飯を食べる音と、
ローが新聞をめくる音だけになった。
食事を終えたマリアが我慢できず声を発した。
「ロー、なんか怒ってる?」
「…別に、怒ってねえよ。」
ローは日頃から低い声で喋るので、
本当に怒っていないのか、
怒っているのかマリアには聞き分けが難しかった。
「サボっていうのは、
あの革命屋のことだったんだな。」
「え、ロー、サボのこと知ってるの?」
革命軍のメンバーの中でもサボの名前は有名だが、ローが目をつけていたのは意外であった。
「違う。お前の毒の手術中、ずっと『サボ』と言っていたからな。」
「え…」
マリアが猛毒に侵されたとき、
マリア自身はその時の記憶は苦しい以外の他は特になかったのだ。