第10章 恋人同士
「!…わ、わかった、持ってく。」
「やっとわかってくれた?」
「う、うん。」
「あ、言っとくけど…お財布持ってくだけ持っていって自分のお財布からお金出したら……どうなるかわかってる?」
「!…」(バレた…。)
「フフッ…行ってらっしゃい?」
「い…行ってきます…。」
笑顔が怖い…。
お店に入り、下着コーナーへ行く。
「…」(これで…いいかな…。)
サイズを確認してあまり派手ではない下着を選ぶ。大きめのパーカーとハーフパンツもカゴの中にいれた。
「ありがとうございます、お会計が4580円でございます。」
「…」
黒河さんのお財布を開ける。
「…」(諭吉さんがいっぱい…。)
やはり人のお財布を開けるというのはもの凄く罪悪感がある。
「こ、これでお願いします。」
「はい、1万円お預かりいたします。お返しが5420円になります、お確かめくださいませ、ありがとうございました、またお待ちしております。」
「あ、ありがとうございました。」
お財布を閉じ、品物を受け取ってお店を出た。
「お、お待たせ…しました…。」
「!…おかえり。」
「お財布…あの…ありがとう。」
「ん~ん、こちらこそ、わがまま聞いてくれてありがとう。」
「ううん…。」
「良いの買えた?」
「う、うん…!」
「そう、なら良かった。」
ニコリと微笑む黒河さん。